思い出の品
  父は、支那事変から、インパール作戦が終わり日本に復員するまでの間の思い出の品をいくつか保存していました。
  父も亡くなり、これらの品を個人で保存してゆくのもいつか限界がくることが予想されるため、平成27年5月、歩兵第58連隊があった地にある上越市立歴史博物館(旧上越市立総合博物館)へ寄贈し、保管していただくことにしました。

  
●村外れの鎮守様で村中総出で出征兵士を見送ってくれた時の、のぼり旗の内の一本です。他にもあったのですが、戦後の物資難のときに衣服に化けてしまったようです。
●支那事変の戦地に行ったことにより、昭和15年4月29日付けで勲8等瑞宝章を受けました。

  右の写真は一緒にいただいた「支那事変行賞 賜金国庫債券」です。90円の利付国債で、昭和35年まで毎年4月1日に3円28銭ずつ支払われることになっていますが、戦後は支払われなくなりました。
●「巻脚絆」(まききゃはん)といい、足を守るために足首からひざまで巻いて使います。
●防水処理も取れヨレヨレになった防雨外套です。雨のときに軍服の上に羽織りました。
●ショルダーバッグのような鞄です。防毒面を入れて持ち歩きました。
●「水筒」と「飯盒」です。飯盒のことについては体験記の「 新しい飯盒 」にも書いてあります。
●「日本軍発行身分証明書」です。どの大隊に所属しているかが書かれています。
●「英軍発行乗船許可証」  終戦後タイのナコンナヨークで収容されましたが、日本へ帰られることになり、船に乗る前に英軍の検査を受け乗船を許可されると発行されました。CLEAR FOR…とスタンプが押してありますが、後ろの文字は薄くて読めません。
●タイから帰国する船が日本へ到着し、「浦賀引揚援護局長」が発行した「引揚證明書」です。氏名、本籍地、職業などが書かれていて「右ハ昭和二十一年六月二十日浦賀ニ上陸セルコトヲ證明ス」と証明されています。

  裏面は浦賀に上陸したときに支給された物品のリストです。支給されたものは外食券、夏衣、軍手、編上靴などです。
●これも浦賀に上陸したときに、関東上陸地支局高級醫官が発行した傷病の「証明書」です。傷病名にはマラリアと書かれています。