はじめに
翔んだ青春…… とんでもない青春でもあった……。 長い人生のほんの一コマではあるが、泥まみれになって生死の極限をさまよい歩いて来た者に とって、これは人生第一部の全巻のような気がしてならない。 昭和14年12月1日現役兵として高田歩兵第30聯隊留守隊に入隊し、翌年の5月、中支派遣 歩兵第58聯隊に転属となり、支那事変、大東亜戦争と、7年間の戦争体験をして来ましたが、 その中でも世界戦争史上もっとも悲惨な作戦と言われたインパール作戦に参加し、無二の戦友を 多数失い、自らも負傷し敗走という悲惨な体験を、言葉だけの語り継ぎでは何時しか忘れ去られて しまう。 戦死した戦友は語ることも書くことも出来ない。私達がその代弁をする事がせめてもの亡き 戦友への供養になると思い、前々から書きためて来た原稿を、早く整理したいと思い立ってから すでに数十年の歳月が過ぎてしまった。 無学な私にはとても無理と思いながらも、今やらなければ後がない、と追い立てられる 気持ちでまとめてみました。 戦場で散華された戦友のご冥福をお祈りします。 平成3年2月 関口 榮
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